2009年05月26日

景気は本当に回復するか

09年1~3月期の景気は、戦後、最悪となったが、これが底であとは回復に向かうという見方が広がってきた。
この見方を裏付けるように、5月15日にスタートした家電の「エコポイント制度」、つまり省エネ性能のすぐれたテレビ、冷蔵庫、エアコンの購入者に国が最大3万6000円分のポイントを与える景気対策が功を奏し、薄型テレビは最初の1週間で、前の週より45%も売り上げが増えたと報道された。

また、日銀が道半ばながら最悪期を抜け出しつつあるという見解を明らかにした。
さらに、最近の原油市況の上昇も、世界的な景気回復を先取りする動きとみられている。
この背景には、各国でとられている景気対策が効いてきたという事情があるのだろう。

しかし、これから一直線に回復軌道にのるという楽観論は多くない。
ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマン米プリンストン大学教授は、米国経済について「景気はこれ以上急落しないかもしれないが、どこから真の回復が始まるのか見えない」(NYタイムズ09.5.8付、朝日5.22転載)と述べている。
このことは日本にもそっくり当てはまるように思える。

また、「小さな政府」を目指し「民営化」や「規制緩和」を推進した英国のサッチャー首相が登場してちょうど30年になるが、英国のフィナンシャル・タイムズ紙は、「サッチャー時代の終わり」と題する記事(4.28付)の中で、現在の世界的な金融経済危機の下で、サッチャー時代は終わりを告げたことを認めながらも、「これに代わる筋の通った政策をはっきり示す政治家はまだ現れていない」と書いている。
当面の不況の痛みを和らげる対策だけでは、本格的な景気回復は望めないと言えるのではないか。






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Posted by hamachan at 13:46
 
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プロフィール
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浜野崇好(はまのたかよし)

経済コラムニスト



1935年6月宮崎市生まれ



NHK経済記者・解説委員を経て、宮崎公立大学学長・理事長。

退任後、フリーの経済コラムニストとして活動。



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