2008年11月02日

バブルの怖さ

米国発の金融危機は、その波紋がどこまで広がるのか、予断を許さないものがあります。世界的な激しい株価の乱高下は、人々が最近の情勢に強い不安感を抱いているかを示すものとも言えるでしょう。

先週、英国中央銀行のイングランド銀行が示した見通しによれば、世界の金融機関が10月現在で抱えている評価損は2兆8000億㌦(約270兆円)に上ると言うのです。これがどんなに巨大な金額であるか、前回の小生のブログを参考にしていただければお分かりと存じます。

人口30万人のアイスランドでは、この金融危機の影響で国家破たんの瀬戸際にあり、資金の海外流失を防ごうと、中央銀行が政策金利を6%引き上げて年18%としたという報道もありました。

しかし、全体としては金融危機そのものから、実体経済に与える影響に課題が移りつつあるようです。ただし、比較的影響が軽いと言われる日本でも、短期の回復は難しく、日銀の見通しのように、2010年くらいまで、かかるかもしれません。

ただ、不況の深刻さから言えば、さまざまな景気対策が取られることを前提にして考えれば、戦前の大恐慌のようなことはないはずです。

それにしても、バブルは怖いですね。『バブルの物語』の著者、ガルブレイスは、「金融上の記憶というものは、せいぜいのところ20年しか続かない」、
バブルを経験してもうこりごりだと思っていても、「前回の狂気が何らか装いを変えて再来し、それが金融に関心を持つ人の心をとらえる」ようになり、姿を変えたバブルに見舞われるというのです。


今度の金融危機で問題になっているレバレッジ(てこ)の作用、つまり米国の投資銀行などが外部資金への依存を高め、中にはその依存度が自己資本の30倍以上にも達する例があった様子です。これでは、金融機関の経営が危うなるのは、当たり前という気がします。


ガルブレイスは、バブルの歴史には、姿を変えた「てこ」が付きまとっていたと書いています。16世紀、オランダで起こったチューリップ球根のバブルの時は、小さな球根が巨額な貸付の「てこ」となり、大恐慌の時は、米国で10%の証拠金で株を買うという信用取引の「てこ」が大々的に利用されたと指摘しています。そして、今回は金融工学という「てこ」が作用したのでしょうか。


姿を変えて登場する「てこ」は新発見とみなされることが多く人々が気付かないうちに、リスクが広がるというのは、本当に怖いと思います。


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Posted by hamachan at 15:36
 
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プロフィール
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浜野崇好(はまのたかよし)

経済コラムニスト



1935年6月宮崎市生まれ



NHK経済記者・解説委員を経て、宮崎公立大学学長・理事長。

退任後、フリーの経済コラムニストとして活動。



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