2013年02月23日

円安頼みの限界


年末以来、日本経済は、円安・株高の傾向が続き、後退していた景気も改善の方向にあるとみられるようになった。
金融緩和など3本の矢によって、慢性的なデフレからの脱却を目指すというアベノミクスのアナウンスメント効果が大きく影響しているようである。
円安は特に、自動車をはじめとする輸出産業に大きな利益をもたらしていると報道されている。

2月中旬に相次いで開かれた二つの財務相・中央銀行総裁会議、つまりG7(主要7カ国)と、G20(20カ国・地域)の会議では、日本を名指しにはしなかったものの、海外の新興国などからは、日本の円安誘導に対する懸念が示された。
その後の為替市場では、こうした海外の批判が効いてきたのか、円相場は小幅な値動きになり、1㌦=90円台前半で推移している。

円相場が今後どう動くか、予断を許さないが、一方的な円安で、国内でも輸入を中心にデメリットが出て来た。
輸入に依存している原油価格の上昇で、ガソリンの値段がじりじりと上昇し、中小企業から悲鳴に近い声が出ているほか、電力料金への波及も心配されている。

政府は、こうした円安の下で日本経済がデフレ不況の状態から脱却出来て成長に転ずれば、円安のデメリットも薄らぐと考えているようであるが、内外に円安警戒感が出ているだけに、一方的な円安頼みは、このままでは限界に来ているとも言えるのではないか。

心配なのは、ここまでの円安・株高が主として、安倍政権のアナウンスメント効果によるものだとすれば、それが実現しないときには、逆効果が起こるおそれもあるという点である。
さし当たっては、次期日銀総裁の人事がどうなるかが市場の注目点であろう。


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Posted by hamachan at 19:42

プロフィール
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浜野崇好(はまのたかよし)

経済コラムニスト



1935年6月宮崎市生まれ



NHK経済記者・解説委員を経て、宮崎公立大学学長・理事長。

退任後、フリーの経済コラムニストとして活動。



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