2011年10月19日

関心集める「脂肪税」・「ポテトチップス税」

欧州で不健康な食品の消費を減らすという名目の新しい税の制度が登場し、関心を集めている。
9月にハンガリーで、糖分や塩分の多いスナック菓子、清涼飲料などを対象にした「ポテトチップス税」(正式には国民健康推進税)が導入された。
10月に入るとデンマークで、飽和脂肪酸が2.3%以上含まれるすべての食品に「脂肪税」がかけられるようになった。

飽和脂肪酸は、バターやチーズ、肉などに多く含まれ、取り過ぎると悪玉コレステロールを増加させて、心臓病などの原因になるとされている。
デンマークの課税額は、飽和脂肪酸1キロ当たり16クローネ(約220円)で、バターなら13~4%の値上がりになるようである。
ハンガリーの場合は、ポテトチップス100グラム当たり7円程度と報道されている。

両国とも国民の病気を防ぐことが新税の目的だとしており、特にデンマークは北欧諸国の中で平均寿命が相対的に低いことを改善する狙いがあると言われている。
国民の医療費が減れば、国の税金使用がそれだけ少なくなる。
また、両国とも厳しい財政事情を抱えていることから、新税による税収の増加を見込んでいることは、言うまでもあるまい。

欧州では、ハンガリーとデンマークのこうした新税に関心を示す国が増えているいるとも報じられている。
一国の政府が税制で何らかの政策を推進しょうとする場合、減税を伴うのであれば、政策目的も達成されやすいだろう。
しかし、増税は痛みを伴うだけに、新税について国民的な論議を重ね、納得が得られるようにする必要がある。

日本で問題になっているタバコ増税と似たところがあるが、個人の嗜好だけでなく、食文化に関わる問題となると、それを増税で変えるということに抵抗を感じる人は少なくあるまい。
ただ「脂肪税」一つにしても、バターとか肉類に何%の飽和脂肪酸が含まれているのかの表示は欲しいと思う。


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Posted by hamachan at 14:33

プロフィール
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浜野崇好(はまのたかよし)

経済コラムニスト



1935年6月宮崎市生まれ



NHK経済記者・解説委員を経て、宮崎公立大学学長・理事長。

退任後、フリーの経済コラムニストとして活動。



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