2009年11月24日

困ったときの日銀頼み

政府は11月の月例経済報告で「緩やかなデフレ状況にある」という文言で、「デフレ宣言」を出した。
デフレは物価が下がり続ける現象で、政府は01年3月にも先進国としては戦後初めて、デフレを宣言している。
このときは、なかなかデフレ状況から立ち直れず、5年以上も物価下落が経済の圧迫要因となった。

その後、世界的な金余りで投機的な資金が商品市場に流れ込み、原油をはじめとする商品相場が急上昇し、むしろマネーゲームによるインフレが心配されたほどである。
リーマンショック以後は景気の急激な落ち込みで物価は下落した。
最近は日本も緊急の経済対策が功を奏し、プラス成長になって、いくらかほっとしていたのに、またもやデフレ状況なのである。

デフレの中でも怖いのは、物価下落が売り上げ増加につながらず、らせん階段を下っていくような不況に陥るデフレスパイラルである。その対策は何とかして需要の増大を図ることであるが、気になるのは、国庫に余裕がないため、政府が日銀頼みの姿勢を強めていることである。
日銀に金融の量的緩和や大量発行の国債引受の増加を見込んでいるのではないかという観測が流れている。

政府の「困ったのときの日銀頼み」の姿勢は、筆者も若いときに日銀担当記者を務めて以来、何回も見てきた。しかし、それは冷静な日銀の態度を狂わせ、一歩間違えるとバブルをもたらすなどの大きな副作用を伴うものであることを忘れてはならないと思う。。



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Posted by hamachan at 14:17
 
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プロフィール
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浜野崇好(はまのたかよし)

経済コラムニスト



1935年6月宮崎市生まれ



NHK経済記者・解説委員を経て、宮崎公立大学学長・理事長。

退任後、フリーの経済コラムニストとして活動。



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