2013年03月17日

失政のつけ

国内の農業関係者を中心に反対論が強く、意見集約が難航したTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉に対し、安倍晋三首相が3月15日正式に参加すると表明した。
ここまで約3年かかっているが、なお根強い反対論がある。

あらためて言うまでもなく、TPPは参加各国が工業製品や農産物などの関税を撤廃して、真に自由な貿易を実現しようとする協定である。
既に交渉に参加している11か国でそのルールづくりが進められている。

政府の試算によれば、日本はTPPに参加した場合、10年後、価格の安い農産物の流入により、農林水産業で生産額が2.9兆円(実質)減少するが、一方で工業製品の輸出増加や安価な輸入農産物の消費拡大が期待でき、実質GDP(国内総生産)で、差し引き、3.2兆円押し上げる効果が見込まれている。

しかし、マクロ経済の試算がどうであろうと、農業を基幹産業としている地域の人々は、これで納得するとは思えない。
コメや砂糖などを聖域つまり、関税撤廃の例外として守っていけるのかどうか、交渉の行方によってなお論議を呼ぶ可能性がある。

消費者の目で言えば、日本の農産物の価格は全般に輸入品より割高である。
比較的競争力のある野菜でも、南半球のニュージーランドから輸入される南瓜が同じ種類の国産品より、ずっと安く売られている。
コメのように、味がよいものを高い価格で輸出している例はあるが、限られている。

農業の生産性を高め、競争力を付けなければならないことは、随分早くから言われていたことなのに、歴代の内閣が対応できなかったことに問題があると思う。
政府の方針がくるくる変わる「猫の目農政」に対する批判もある。

農林水産業に対するこうした失政の原点に立ち返り、新しい成長戦略の中にしっかり位置づけていくことが交渉を進めるうえでも大事ではないか。

  


Posted by hamachan at 16:06
プロフィール
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浜野崇好(はまのたかよし)

経済コラムニスト



1935年6月宮崎市生まれ



NHK経済記者・解説委員を経て、宮崎公立大学学長・理事長。

退任後、フリーの経済コラムニストとして活動。



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