2012年10月14日
「ⅰPS細胞移植」の誤報から思う
10月13日付けの新聞Y紙とK通信は、自ら11日に報道した「ⅰPS細胞から心筋細胞を作り、重症の心臓病患者に移植された」という内容に誤りがあったというお詫びの記事を掲載した。
移植の実施に関わったと主張する森口尚史氏(48)の論文等に疑義が生じ、誤報と判断したものである。
Y紙の紙面1ページを使ったこの件の検証報道の中で、編集局長は森口氏について「客観的な根拠がなく、説明もまったく要領を得ません」と指摘し、「取材の甘さを率直に反省し、記者の専門知識をさらに高める努力をしていきたい」と謝罪している。
またこの検証報道では「ハーバード大客員講師」という、森口氏の肩書について、記事を書く前に大学側に確認していれば、虚偽が見抜けただろうとも書いている。
ⅰPS細胞と言えば、さまざまな臓器や組織に変化できる新型の万能細胞であり、これを作り出した京都大学の山中伸弥教授が今年のノーベル生理学・医学賞に決まった直後だっただけに、それをいち早く患者の心臓に移植したという記事には、驚かされたが、専門家には疑問を持たれていたらしい。
それにしても、最近では珍しい誤報である。
小生も若い記者時代に、経済問題の取材で十分な確認を欠いた苦い経験があり、大口をたたけるわけではないが、記事を書くに当たっては、十分過ぎるくらいの確認をしていただきたいものである。
これだけ科学技術が高度になると、取材する側も、より高いレベルの専門性がないと、付いていけないのも確かである。
今回の出来事とは関係ないが、最近、大阪と三重で起こった犯罪予告メールの事件では、遠隔操作のコンピューター・ウイルスの被害者が犯罪予告をした容疑者に仕立て上げられそうになったのである。
いずれも容疑者ではないことが分かって釈放されたが、警察でもすぐには検知できないサイバー犯罪が多様な手口で出て来る時代である。
「教育に新聞を」というNIEの活動が広まり、小中学校で新聞を通じた学習が始まっている。
新聞もこうした時代にふさわしく、いっそう完成度を高めていくことを祈りたい。
移植の実施に関わったと主張する森口尚史氏(48)の論文等に疑義が生じ、誤報と判断したものである。
Y紙の紙面1ページを使ったこの件の検証報道の中で、編集局長は森口氏について「客観的な根拠がなく、説明もまったく要領を得ません」と指摘し、「取材の甘さを率直に反省し、記者の専門知識をさらに高める努力をしていきたい」と謝罪している。
またこの検証報道では「ハーバード大客員講師」という、森口氏の肩書について、記事を書く前に大学側に確認していれば、虚偽が見抜けただろうとも書いている。
ⅰPS細胞と言えば、さまざまな臓器や組織に変化できる新型の万能細胞であり、これを作り出した京都大学の山中伸弥教授が今年のノーベル生理学・医学賞に決まった直後だっただけに、それをいち早く患者の心臓に移植したという記事には、驚かされたが、専門家には疑問を持たれていたらしい。
それにしても、最近では珍しい誤報である。
小生も若い記者時代に、経済問題の取材で十分な確認を欠いた苦い経験があり、大口をたたけるわけではないが、記事を書くに当たっては、十分過ぎるくらいの確認をしていただきたいものである。
これだけ科学技術が高度になると、取材する側も、より高いレベルの専門性がないと、付いていけないのも確かである。
今回の出来事とは関係ないが、最近、大阪と三重で起こった犯罪予告メールの事件では、遠隔操作のコンピューター・ウイルスの被害者が犯罪予告をした容疑者に仕立て上げられそうになったのである。
いずれも容疑者ではないことが分かって釈放されたが、警察でもすぐには検知できないサイバー犯罪が多様な手口で出て来る時代である。
「教育に新聞を」というNIEの活動が広まり、小中学校で新聞を通じた学習が始まっている。
新聞もこうした時代にふさわしく、いっそう完成度を高めていくことを祈りたい。
Posted by hamachan at
18:00