2012年08月10日

消費増税法の成立

一時はどうなるのか、行方が分からなくなっていた「社会保障と税の一体改革」関連法案が8月10日の参議院本会議で可決、成立した。
この一体改革のための消費増税等の法案については、既に6月に、民主、自民、公明の3党が一部原案を修正して基本合意し、衆議院を通過している。

ところが、参議院に送られたあと、衆議院の解散時期をめぐる政争が絡み、改革の白紙撤回も予想される事態となった。
8月8日になって、事態を打開するための3党の党首会談が開かれ、あらためて合意に達したのである。

衆議院の解散が具体的にいつになるのかは、密約説もあるが、はっきりしていない。
ただ、「近い将来」ではなく「近いうちに」国民に信を問うということになったと報道されている。

いずれにしても、現在5%の消費税は、2014年4月から8%に、翌15年10月には10%とすることが決まった。
国民生活の負担が重くなることを私たちは、いよいよ覚悟しなければならなくなったのである。
反面で、莫大な財政赤字を抱える日本も、政府債務の増大から市場の信認が薄らいでいる欧州のユーロ危機のようになるのではないかと心配されていたが、それは当面避けられそうである。

それにしても消費増税の課題は山積している。
第一は、最高裁から違憲状態と指摘されている衆議院の1票の格差是正、今年度の政府予算の40%を占める赤字国債発行のための法案成立、それに原子力規制委員会の人事決定等、緊急を要する案件の処理を解散前に処理することである。

次に、消費税引き上げに当たって、欧州で実施されているような食品など生活必需品の軽減税率導入の検討を急ぐことである。
この方式は、逆進性つまり、所得の多い少ないにかかわらず、一律の税率が適用されると、所得格差が一層広がるのを少しでも和らげようとするものである。

財政当局は、軽減税率を取り入れると、歳入が計画通り増えなくなるため導入に難色を示しているが、この方式を実施している英国などで生活体験のある人は、賛成すると思われる。
最近の国内の世論調査でも、軽減税率導入の支持者は多くなっているのである。

さらに消費増税を機会に、成長戦略や災害復旧に力を入れようとする政治家の動きが見られるが、今回の消費増税の目的は、今後、急増しそうな社会保障費に充てることが主体であり、かつての公共事業の復活を考えているとしたら、今度こそ、日本も欧州の一部の国のように、自力で財政危機を克服できない国と評価されかねないと思う。


  


Posted by hamachan at 23:24
プロフィール
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浜野崇好(はまのたかよし)

経済コラムニスト



1935年6月宮崎市生まれ



NHK経済記者・解説委員を経て、宮崎公立大学学長・理事長。

退任後、フリーの経済コラムニストとして活動。



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