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Posted by みやchan運営事務局 at

2012年07月14日

「日本再生戦略」に思う

政府は7月11日、首相を議長とする国家戦略会議を開き、2020年までの成長戦略を盛り込んだ「日本再生戦略」の原案をまとめた。
内容はインターネットでも公表している。
再生戦略の狙いの一つは、消費増税の法案が衆議院を通過し、参議院での審議が始まっているが、消費税率を8%に引き上げる2014年4月の時点で景気が停滞しないような成長戦略を打ち出すことにあるようだ。

また、日本の人口は、急速な少子高齢化で縮小傾向にある。
その一方で中国やインド、それにアジア諸国では、いわゆる中間層が急増すると予想されており、こうしたアジアの活力を取り込む政策や戦略を政府は急がなければならないという課題もある。

この原案によると、2020年度までの平均成長率は名目で3%、実質では2%を目指している。
そのうえで社会の多様な主体が創造的な結合によって、新たな価値を生む「共創の国」というビジョンを掲げ、震災・原発事故からの復活加速のほかに、デフレ脱却の道筋、グローバル化、地域化の3つを基軸に据えている。

具体的には、11分野の成長戦略と38の重点施策に取り組むことにしており、医療・介護や健康関連分野で2020年度に50兆円規模の国内市場を創設する、経済連携協定(EPA)の締結交渉を加速し、締結国との貿易比率を現在の20%弱から80%に引き上げる、アニメなど日本の文化を輸出するクールジャパンの海外売上高を現在の2兆円余から17兆円に拡大する等々、各分野について、意欲的な目標値を示している。

しかし、各紙が社説などで指摘しているように、いかにも総花的で焦点が絞られていない。
また、スローガンや数値目標ばかりが目立ち、どのようにして課題を乗り越えて実現していくのかが見えない。
農業分野だけ見ても、貿易自由化の加速で国内農業が弱体化すると心配されるのに、平地の1戸当たりの農地面積を2020年度を待たずに20~30㌶に拡大するとしている。
一体どのように進めるのだろうか。

より重要なことは、民間部門が政府の戦略に沿って、成長エンジンを起動させるのかどうかである。
民間の活力が引き出せないと、意欲的な目標も絵に描いたもちになってしまう。
中長期的に民間の創意と工夫が生かせるような規制改革等の施策が必要ではないだろうか。

私どもにとって目が離せないのは、国会でも消費税増税の審議で取り上げられたという増税に伴うバラマキ財政の復活である。
今回の消費税増税は、社会保障の財源確保に大きな目的がある。
それなのに表向きで成長戦略の名を借り、増税分を復興事業などの公共投資に充てることは許されない。


  


Posted by hamachan at 14:52
プロフィール
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浜野崇好(はまのたかよし)

経済コラムニスト



1935年6月宮崎市生まれ



NHK経済記者・解説委員を経て、宮崎公立大学学長・理事長。

退任後、フリーの経済コラムニストとして活動。



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