2012年06月20日

日欧の財政課題-次のステップへ

このところ、日本や欧州で大きな課題となっている財政赤字の問題で、最悪の危機を避けようとする動きに進展がみられる。
まずギリシャでは、緊縮政策による財政危機からの立ち直りを目指した連立与党が5月の総選挙で敗北し、連立内閣の交渉も成立せず、6月17日再選挙となったが、財政緊縮とユーロ圏残留を掲げた中道の旧2大政党が今度は過半数を獲得した。
これによって、ギリシャのユーロ圏離脱や金融市場の混乱はひとまず避けられる見通しとなった。

また日本では、野田政権の「社会保障と税の一体改革」に修正を加えた消費税増税等の改革路線について、民主、自民、公明の3党が基本合意した。
この合意には、民主党内に反対勢力があり、政治的にどうなるのか、現段階(20日現在)ではまだはっきりしたことは言えないとしても、3党が論議を尽くして合意したことには、重みがあり、財政再建に向けた重要な一歩となるだろう。

欧州の方も、ギリシャに続いて、失業率や金融不安が高まっているスペインが注目を集めるなど、情勢が沈静化するのは容易でないとされている。
しかし、欧州諸国は金融行政を一元化する案を検討すると伝えられるなど、危機脱出の政策が次の段階に入ったと見ることができるのではないか。

日本の場合は、3党の修正合意に基づく関連法案の成立が当面の課題であるが、次のステップとして関心を向ける必要がある点を考えると、何よりも徹底した歳出の削減である。
国の借金は国内総生産(GDP)の2倍にも達しており、消費税を10%増税しても、黒字財政への転換はほど遠いだけに、歳出削減の意気込みを示さないと、国の格付けがさらに引き下げられ、市場の標的にされかねないからである。

年金、医療などの社会保障費も高齢化に伴って給付費が増える一方になると予測されており、年齢や官と民の格差の是正は必要であるが、やはり全体としては財政削減の観点からの改革が求められる。

さらに消費税は、アンケートで支持率の高い生活必需品の軽減税率制をできるだけ早い段階で採用し、痛みを和らげながら粘り強く財政再建に取り組むようにすべきである。
  


Posted by hamachan at 17:27

2012年06月06日

将来の原発比率問題

国内の電力のうち、原子力発電を2030年時点で、どのくらいにするかをめぐって、大詰めの論議が活発になっている。
きっかけは、経済産業省の審議会が5月28日、「①0%」「②15%」「③20~25%」「④あらかじめ割合を決めない」の4案を示したことにある。
このほかに、原発比率を35%とする選択肢もあったが、2010年度の実績よりも比率が高くなるということで、参考値とすることになった。

これらの選択肢は、夏までに一つに絞る予定になっている。
この問題は、昨年秋から論議されてきたが、原発推進派と脱原発派、さらにどちらでもない慎重派等があり、意見をまとめることが出来なかったのである。

この審議会はその後、2020年時点の原発の割合についても試算をしているが、これまでの報道によれば、今ある原発は40年たった時点で原則として廃炉にするという野田政権の方針に従うということのようである。
この考え方なら、2030年の原発比率は「②15%」案が有力になる。

太陽や風力など、再生可能エネルギーが原発の代わりになるまでには、なお時間がかかるとみられることから、その間の足りないエネルギーとしては、埋蔵量豊富で石油より環境にやさしいとされている「シェールガス」による火力発電などで補う方向らしい。

しかし、そう決める前に整理しなければならないのは、参考値とされた原発比率35%に未練を残す人々が少なくない点である。
この人々は原子力を将来も火力などと並ぶ基幹電源として位置づけているように見えるが、果たして安全面は大丈夫なのか。

今回、もう一つ問題になったのは、核燃料サイクル政策の見直し作業をしている内閣府の原子力委員会がその報告書の原案を原子力推進派とみられる関係者だけの会合で見せ、書き換えの疑惑が出て来たことである。

原発に対する国の政策は、絶対に一部の関係者だけで取り扱うべきではない。
偏りのない情報に基づき、広く民主的な議論を尽くしたうえで決めるルールを確立することが何より重要である。  


Posted by hamachan at 13:53
プロフィール
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浜野崇好(はまのたかよし)

経済コラムニスト



1935年6月宮崎市生まれ



NHK経済記者・解説委員を経て、宮崎公立大学学長・理事長。

退任後、フリーの経済コラムニストとして活動。



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