2011年11月16日
TPPと日米貿易摩擦
環太平洋経済連携協定(TPP)について、11月11日、野田総理大臣が「交渉参加に向けて、関係国との協議に入る」と宣言し、激しく対立してきたTPP参加問題は、新しい段階に入った。
この交渉は、2006年にシンガポールやニュージーランドなど太平洋を囲む4カ国がヒト、モノ、カネの移動を国境を超えて自由にしようとスタートさせた協定で、これに米国や豪州などが加わり9カ国で交渉中である。日本に続いて、カナダとメキシコも協議へ参加の意思を表明し、12カ国に拡大しそうである。
この協定の特徴の一つは、原則として関税を100%撤廃することを目指している点で、これに伴って日本は工業製品等の輸出はしやすくなる代わりに、コメや酪農製品等の農産物が大きな影響を受けるという懸念が広がっている。
また問題は、日米間で話し合いがまとまるかどうかであるとも言われている。
長年、経済問題の取材をして来た立場からすると、戦後、1ドルブラウスに始まり、繊維や自動車、牛肉等の各分野、さらに経済構造まで踏み込んだ日米構造協議といった日米貿易摩擦の総決算になるのかという印象が強い。
TPPの場合は、単なる貿易問題だけでなく、医療や環境その他社会全体に関わる問題も議題になるようである。
そうなると、影響も広がり、交渉が難航する可能性がある。
これまでの日米摩擦は、「ノー」と否定できなかったり、「日本対米国」という利害関係の対立にとらわれ過ぎたりする場面が見られた。
しかしTPP交渉は、長い目で見て、日本の経済や社会にとって、変えた方が良いと思われる課題にきちんと立ち向かい、どのようにうまく打開するかという日本の将来に向けてのプラス思考を大事にしていくことはできないものか。
Posted by hamachan at
13:34