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Posted by みやchan運営事務局 at

2011年11月02日

元気な「ミセス・ワタナベ」

「ミセス・ワタナベ」と言っても、特定の個人名ではない。
ドルと円の売買など外国為替取引に関心のある人々の間ではよく知られているが、「FX(外国為替証拠金取引)という取引に参加している日本人の主婦を中心とした女性やサラリーマンなど小口の個人投資家」をまとめた呼び名である。

日本でFXという取引が始まったのは1998年で、その特徴は、例えばドルを買って値上がりしたら売るという通常の取引とは異なり、業者に担保となるお金(証拠金)を預けると、その何倍もの外貨取引ができるという点にある。したがって、この先、円高ドル安がさらに進むという読みがある場合、ドルを借りてそれを市場で売り、ドルが安くなったときに買い戻せば、利益が得られる。逆に読みが当たらず、ドル高になったら損失を被る。

証拠金に対する取引額の倍率が上がれば上がるほど、利益も損失も大きくなる。まさに「ハイリスク・ハイリターン」の取引である。
このため金融庁は2011年8月から、この倍率を25倍に制限するようにした。

「ミセス・ワタナベ」という呼び名が出て来たのは、2007年ごろ東京の銀行間の外国為替取引で、相場の流れに逆らったいわゆる「逆張り」の取引が目立つようになり、その背景を探ったところ、日本人の主婦などの存在が浮かび上がり、注目を集めるようになった。こうした個人投資家について、欧米のメディアが主婦を意味する「ミセス」と、外国で日本人に多い姓として知られている「ワタナベ」を組み合わせて名付けられたと言われている。

その「ミセス・ワタナベ」はこれまで、相場が大きく円高になったときなどに話題を呼んだが、今回も円高が進行する過程で、得意の逆張り(円売りドル買い)で存在感を示し、「健在」だという新聞記事が出た(日経10.26付)。それによると「ミセス・ワタナベ」の外国為替市場への影響力は、単純な計算ながら、全体の2割に達し、海外からの円買い圧力に抵抗してきたと言う。

おそらく「ミセス・ワタナベ」は、相場が円高基調にあっても、一直線に円が高くなる訳ではなく、小刻みに上下動を繰り返すことから、一時的なドル高への動きが見られるときをうまくつかんで来たのではないかと想像する。

円相場は、10月末に1㌦=75円32銭という記録的な円高になったあと、政府・日銀の市場介入で78円台に戻るという激しい値動きになった。
今後の動きは分からないが、日本の女性で世界的に活躍しているのは、ナデシコ・ジャパンだけではない。
「ミセス・ワタナベ」の健闘ぶりは、日本人女性の潜在的な元気さを期待させる頼もしい存在ではないか。 
  


Posted by hamachan at 22:19
プロフィール
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浜野崇好(はまのたかよし)

経済コラムニスト



1935年6月宮崎市生まれ



NHK経済記者・解説委員を経て、宮崎公立大学学長・理事長。

退任後、フリーの経済コラムニストとして活動。



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