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Posted by みやchan運営事務局 at

2011年08月23日

「再生可能エネルギー」問題再論

前回取り上げた「再生可能エネルギー法案」が今月26日にも可決成立する見通しとなった。
これによって、遅ればせながら日本でも電力会社は、太陽光、風力、地熱、バイオマスなど、再生可能なエネルギーによって発電される電気を固定価格で買い取ることがが義務付けられるようになるのである。

今後の課題としては、既にいくつかの点が指摘されているが、中でも、中立の第三者委員会で決められる電力会社の買い取り価格がどう決まるかが重要である。

「再生エネルギー」の発電コストは現段階では割高であるが、その買い取り価格を高くすればするほど、需要側の電力コストの上昇を招き、逆に価格を低くし過ぎると「再生エネルギー」の普及が進まないと見られるからである。

価格以外にも規制の緩和という課題が指摘されている。
例えば、国立公園の中では温泉利用の地熱発電が難しいとか、風力発電の風車が景観を損なう、農地を太陽光発電に利用するための農地転用が可能かなどの問題である。
こうした点を解決するために「特区」を設けて実施するという考え方があり、地元の人々の意思を尊重しながら、解決を図る必要がある。

8月21日夜放送された「NHKスペシャル」では、米国や韓国の大手企業が自然条件に左右されやすい太陽光発電など、自然エネルギーを安定的に供給できるように、節電も含めてコンピューターでコントロールする「スマートシティ」の構想を描いており、手始めに東日本の被災地で、試行しようとする動きが紹介されていた。

こうした動きを受け、日本側も企業グループで対抗しようとしているようだ。
被災地では、農業に不向きになった用地もあり、新しいエネルギーを生かした産業の広がりと雇用の確保にも期待がかかる大きなプロジェクトである。
さらに、こうした「スマートシティ」は今後、世界的に普及する可能性を秘めており、日本も長期的な観点で戦略的に取り組むことが、間もなく誕生するであろう新政権の大事な課題になるはずである。  


Posted by hamachan at 14:25

2011年08月08日

「再生可能エネルギー」と脱原発


「再生可能エネルギー」(または「再生エネルギー」)は、以前は「新エネルギー」と呼ばれることが多かったが、太陽光、風力、地熱など再生可能なエネルギーによる発電を促進するための「再生可能エネルギー法案」が国会に提出されるようになったせいか、この呼び方が広く使われている。

「再生エネルギー」は、「自然エネルギー」とほぼ同義語で、木くず、動物の糞尿といったバイオマスも含まれる。
福島事故以前は、石油や天然ガスなどの化石燃料と違って、二酸化炭素を排出しないため、温暖化防止につながるクリーンなエネルギーという視点が重視された。

政府は3月11日午前、まさに大震災の直前に「再生エネルギー法案」を閣議決定している。
この法案は、太陽光や風力による電気を電力会社が固定価格で買い取ることを義務付けるという国際的に広く採用されている仕組みを導入したものである。

それが福島事故をきっかけに、クリーンな点だけでなく、エネルギー対策という視点で大きく見直され、菅総理は、この法案が国会を通過することを総理辞任の一つの条件にした。これに対し産業界は、「自然エネルギー」の発電コストが現段階では割高なことから、その買い取り費用が電気料金に上乗せされ、電力コストの上昇を招くことを強く懸念している。

つまり、この法案はあくまで「原子力」が温暖化防止対策の主流としたうえで、再生エネルギーにも目配りしたという程度の日陰者的な存在でしかなかったが、今回の事故で「脱原子力」が大きな課題として浮上してきたことから、関係者のこの法案に対する意識が変わったと見ることができる。

国会でのこの法案の取り扱いは、山場に来ているようであるが、日本では総発電量のわずか1%に過ぎない「再生エネルギー」の普及に真っ向から反対する人は少ないだろう。
問題は、どのくらいの年数をかけ、どんな工程表で「再生エネルギー」の普及を図るかという点である。
日陰者的なこの法案を成立させると、かえって「再生エネルギー」の普及を鈍化させるという批判もあるだけに、日本の長期的なエネルギー政策をしっかり議論し、それを踏まえた「再生エネルギー」普及策が是非とも必要である。





  


Posted by hamachan at 23:00
プロフィール
hamachan
hamachan
浜野崇好(はまのたかよし)

経済コラムニスト



1935年6月宮崎市生まれ



NHK経済記者・解説委員を経て、宮崎公立大学学長・理事長。

退任後、フリーの経済コラムニストとして活動。



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