2011年08月08日
「再生可能エネルギー」と脱原発
「再生可能エネルギー」(または「再生エネルギー」)は、以前は「新エネルギー」と呼ばれることが多かったが、太陽光、風力、地熱など再生可能なエネルギーによる発電を促進するための「再生可能エネルギー法案」が国会に提出されるようになったせいか、この呼び方が広く使われている。
「再生エネルギー」は、「自然エネルギー」とほぼ同義語で、木くず、動物の糞尿といったバイオマスも含まれる。
福島事故以前は、石油や天然ガスなどの化石燃料と違って、二酸化炭素を排出しないため、温暖化防止につながるクリーンなエネルギーという視点が重視された。
政府は3月11日午前、まさに大震災の直前に「再生エネルギー法案」を閣議決定している。
この法案は、太陽光や風力による電気を電力会社が固定価格で買い取ることを義務付けるという国際的に広く採用されている仕組みを導入したものである。
それが福島事故をきっかけに、クリーンな点だけでなく、エネルギー対策という視点で大きく見直され、菅総理は、この法案が国会を通過することを総理辞任の一つの条件にした。これに対し産業界は、「自然エネルギー」の発電コストが現段階では割高なことから、その買い取り費用が電気料金に上乗せされ、電力コストの上昇を招くことを強く懸念している。
つまり、この法案はあくまで「原子力」が温暖化防止対策の主流としたうえで、再生エネルギーにも目配りしたという程度の日陰者的な存在でしかなかったが、今回の事故で「脱原子力」が大きな課題として浮上してきたことから、関係者のこの法案に対する意識が変わったと見ることができる。
国会でのこの法案の取り扱いは、山場に来ているようであるが、日本では総発電量のわずか1%に過ぎない「再生エネルギー」の普及に真っ向から反対する人は少ないだろう。
問題は、どのくらいの年数をかけ、どんな工程表で「再生エネルギー」の普及を図るかという点である。
日陰者的なこの法案を成立させると、かえって「再生エネルギー」の普及を鈍化させるという批判もあるだけに、日本の長期的なエネルギー政策をしっかり議論し、それを踏まえた「再生エネルギー」普及策が是非とも必要である。
Posted by hamachan at
23:00