2011年06月27日

原発再稼働の問題

海江田経済産業相が6月18日に示した既存原発の「安全宣言」は、立地自治体や多くの世論にそっぽを向かれ、宙に浮いた形になっている。
現在、全国の商業用原発54基のうち35基が定期検査などのために停止中であるが、「安全宣言」は、経済産業省が原発を持つ国内11社について、重大事故発生の場合の対策を調べた結果、出されたものだとされている。
既に全国的に見られるような猛暑で、今夏の電力供給に懸念が出ているため、「安全宣言」を早めに出す必要があると考えたのであろう。

しかしこの宣言は、いまだに福島第一原発の安定した収束の方向が見えていない中で出されたもので、あくまで応急措置の安全であり、恒久的なものではない。
被災地では、今もなお目に見えない放射線に脅える不安な日々が続いている実情からすると、立地自治体の納得を得ることは、容易ではあるまい。

停止中の原発を再稼働するには、これまで想定されていなかったような事態も含めて、本当に大丈夫なのかという視点が欠かせない。
そのためには、原発の安全基準そのものから見直す必要があるほか、老朽化した原発の取り扱い、使用済み核燃料やその他の放射性廃棄物の処理等も問題になる。

こうした見直しは、いわゆる「原子力村」の閉鎖的なものではなく、海外の知見も取り入れたオープンな社会的議論でなければならない。
そうでないと、福島第一原発の事故で原子力問題に詳しくなって来た人々を納得させることは難しいと思われる。

欧州では、ドイツやスイスが脱原発の方向を示したのに続き、イタリアでは国民投票で原発反対票が90%を超えたと伝えられている。
福島の事故を見ると、原発の発電コストがこれまで言われてきたものよりはるかに高くなり、放射能による被害の賠償まで考慮すると、民間で経営することは、極めて難しくなる。
そうだとすれば、最近、採掘技術の進歩と、石油よりクリーンなエネルギー源として世界的に供給の安定性が高まっていると言われる液化天然ガス(LNG)の利用拡大をもっと推進するなどの方策により、原子力依存度を低くする道筋を考えるべきではないか。

















  


Posted by hamachan at 14:15

2011年06月15日

遅すぎる震災対応

東日本大震災から3か月たったのに、震災からの復興があまりにも遅い。
復興の基本となる復興基本法案は、国会審議が難航したが、ようやく近々成立の運びとなった。

しかし、復興に必要な巨額の予算については、3か月過ぎた現段階で復興財源をどう調達するのか、野党との話し合いがついていない。
被災地のがれきの除去は、大幅に遅れ、仮設住宅の建設もまだ軌道に乗ったとは言えそうにない。

さらに、こんなことがどうして遅れるのかと不思議に思われるのは、震災の義援金配分である。
主に日本赤十字社に寄せられている義援金は2,500億円を超すと言うが、このうち、被災者に配分されたのは、15%程度に過ぎないと報道されている。
関係の都道府県に設けられている「配分委員会」が公正に配分しようとして時間がかかっているらしい。

これに比べ、海外から日赤に送られてきた300億円超の「救援金」は、日赤自らが救援活動をするための費用に充てられ、迅速に活用されている様子である。
お金そのものより、モノやサービスで支援するほうがしやすということだろうか。

何よりも東電福島第一原発の事故処理はいつになったら、安心できる状態になるのか、見通しがたっておらず、多くの人々を苦しめていることは、あらためて言うまでもない。
ビジネスの世界で「速度の経済性」が重視されるように、政治の世界でもスピード感がないと、駄目なのではないか。うんざりさせられている政治の争いは直ちに止め、避難先で不自由な生活を余儀なくされている被災者最優先で復興を急ぐべきである。

もっとも、原発の不安が長引けば、原発嫌いの世論がますます広がり、太陽光、風力、バイオマスなどの自然エネルギーへの期待が一層高まるという効果を生むかもしれないが‥。













  


Posted by hamachan at 11:57
プロフィール
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浜野崇好(はまのたかよし)

経済コラムニスト



1935年6月宮崎市生まれ



NHK経済記者・解説委員を経て、宮崎公立大学学長・理事長。

退任後、フリーの経済コラムニストとして活動。



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