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Posted by みやchan運営事務局 at

2009年06月22日

「偽りの夜明け」

この言葉は、日銀の白川方明総裁が4月にニューヨークで行った講演で使用した言葉である。
一般的に経済用語として「夜明け」という言葉が使われるのは、景気回復に関連していることが多い。
例えば、景気がなかなか好転しないとき、「夜明け前が一番暗い。しかし、景気は必ず循環するので、夜明けはそう遠くない」と言った形で語られる。
たまたま今の日本経済は、底が抜けたような悪化に、ようやく歯止めがかかりつつあるという見方が出てきただけに、「偽りの夜明け」という言葉を聞くと、「えっ」と反応したくなる。

ところが、6月16日の日銀の記者会見で、「『偽りの夜明け』とは、危機の終わりが来たことの始まりと理解して良いのか?」と聞かれ、白川総裁は、次のような主旨の答えをしている。
「日本のバブル崩壊後の『失われた10年』では、大きなバブルを経験した後だったため、経済は過剰の調整に時間がかかった。
その調整の中で景気が回復したり、後退することが現実にあったということを米国の金融機関や政策担当者に伝えようとしてこの言葉を使った」というのである。
総裁は、調整に長い時間がかかることを意識しておかないと、結果として、保護主義に走ったり、介入が強まるなど経済全体の持つ力を削いでしまうことになることを警告したかったようだ。

現実の日本の景気は、事実上、底を打ったと言われているが、回復の実感からはほど遠く、まだ夜明けの兆しも見えないのではないか。もし見え始めたら、「偽り」か「本物」かを慎重に辛抱強く見極めることが大事ということだろう。
  


Posted by hamachan at 13:39
プロフィール
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浜野崇好(はまのたかよし)

経済コラムニスト



1935年6月宮崎市生まれ



NHK経済記者・解説委員を経て、宮崎公立大学学長・理事長。

退任後、フリーの経済コラムニストとして活動。



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