2008年11月19日

民主主義のコスト

政府の追加景気対策の目玉とされている「定額給付金」は、所得制限を

設けるかどうかをめぐり、迷走したあと、その判断を地方自治体に任せ

ることになった。今度は、任された自治体が降ってわいた話に事務量が

増えると不満を示している。

各マスメディアの世論調査では「こんな政策は評価しない」という回答が

大体60%前後もある。理由の一つは、財源難の中で、総額2兆円と、

宮崎県財政規模の3倍以上の大金をこんな形で配っても、3年くらい先に

は、逆に消費税の税率を引き上げることになるという点にある。

また、この給付金が実質GDP(国内総生産)を押し上げる効果は、0.1%

程度にとどまるというのである。景気対策として疑問符がつく結果ともな

っている。


しかし「評価しない」と言っても、では一人あたり1万2000円(18歳以下と

65歳以上は2万円)配ると言われて断る人がどのくらいいるだろうか。

日々の食卓に欠かせない食料品の値上がり、将来への不安などから

家計は決して楽ではない。

一時金にしても、今、お金が欲しいという人は少なくないだろう。

一般的な庶民感情としては「もっと別の使い方があると思うが、

くれると言うのなら、貰っておこう」ということではないか。




お金はまとめて使うことで、大きな成果が出せる場合が多い。

例えば、この2兆円を太陽光発電の普及などに活用すれば、

日本の石油依存度を引き下げることができる。エネルギーの

安全保障だけでなく、環境対策としてもどれだけ役立つことかと思う。

それでも、将来より今を優先せざるをえないとすれば、この給付金は、

民主主義のコストと考えるほかないのかもしれない。  


Posted by hamachan at 16:54

2008年11月02日

バブルの怖さ

米国発の金融危機は、その波紋がどこまで広がるのか、予断を許さないものがあります。世界的な激しい株価の乱高下は、人々が最近の情勢に強い不安感を抱いているかを示すものとも言えるでしょう。

先週、英国中央銀行のイングランド銀行が示した見通しによれば、世界の金融機関が10月現在で抱えている評価損は2兆8000億㌦(約270兆円)に上ると言うのです。これがどんなに巨大な金額であるか、前回の小生のブログを参考にしていただければお分かりと存じます。

人口30万人のアイスランドでは、この金融危機の影響で国家破たんの瀬戸際にあり、資金の海外流失を防ごうと、中央銀行が政策金利を6%引き上げて年18%としたという報道もありました。

しかし、全体としては金融危機そのものから、実体経済に与える影響に課題が移りつつあるようです。ただし、比較的影響が軽いと言われる日本でも、短期の回復は難しく、日銀の見通しのように、2010年くらいまで、かかるかもしれません。

ただ、不況の深刻さから言えば、さまざまな景気対策が取られることを前提にして考えれば、戦前の大恐慌のようなことはないはずです。

それにしても、バブルは怖いですね。『バブルの物語』の著者、ガルブレイスは、「金融上の記憶というものは、せいぜいのところ20年しか続かない」、
バブルを経験してもうこりごりだと思っていても、「前回の狂気が何らか装いを変えて再来し、それが金融に関心を持つ人の心をとらえる」ようになり、姿を変えたバブルに見舞われるというのです。


今度の金融危機で問題になっているレバレッジ(てこ)の作用、つまり米国の投資銀行などが外部資金への依存を高め、中にはその依存度が自己資本の30倍以上にも達する例があった様子です。これでは、金融機関の経営が危うなるのは、当たり前という気がします。


ガルブレイスは、バブルの歴史には、姿を変えた「てこ」が付きまとっていたと書いています。16世紀、オランダで起こったチューリップ球根のバブルの時は、小さな球根が巨額な貸付の「てこ」となり、大恐慌の時は、米国で10%の証拠金で株を買うという信用取引の「てこ」が大々的に利用されたと指摘しています。そして、今回は金融工学という「てこ」が作用したのでしょうか。


姿を変えて登場する「てこ」は新発見とみなされることが多く人々が気付かないうちに、リスクが広がるというのは、本当に怖いと思います。  


Posted by hamachan at 15:36
プロフィール
hamachan
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浜野崇好(はまのたかよし)

経済コラムニスト



1935年6月宮崎市生まれ



NHK経済記者・解説委員を経て、宮崎公立大学学長・理事長。

退任後、フリーの経済コラムニストとして活動。



クローバー浜野崇好の

オフィシャルサイト

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