2012年01月20日
長引く欧州危機と日本
欧州の財政危機は、年明け後も一向におさまりそうになく、世界経済に暗雲を広げている。
大手格付け会社S&Pは、新年早々、ユーロ圏17カ国のうち、9カ国の国債の格付けを一斉に引き下げた。
この中に最上級の国債格付けを持つフランスやオーストリアも含まれていて心配されたが、今のところこの2カ国の国債を売り急ぐ動きはみられない。
ただ「投機的」とされる水準まで格下げされたポルトガルの国債価格が急落し、これに伴って長期国債の利回りが上昇していると伝えられる。
このことは、国債を新しく発行する際により高い金利を支払う必要に迫られていることを意味する。
これまでユーロ圏諸国やECB(欧州中央銀行)が危機対策を打ち出し、IMF(国際通貨基金)も動き始めたが、発端となったギリシャ危機への対応が遅れ、後手に回って信用危機を広げてしまったのである。
ユーロ圏は、金融面ではECBを中心に一つになっているが、財政は各国別々のままであるため、こういう結果を招いたとされている。
それでは、日本のような財政金融が一つになっている独立国なら大丈夫と言えるだろうか。そうとは言い切れない。
あらためて述べるまでもなく、日本の国の借金は、今年3月末にはGDP(国内総生産)の約2倍、1000兆円に達する見通しで、GDPとの対比で言えば、先進国の中で最悪の状況にある。
このところ年間の国債発行は170兆円前後となっている。
したがって、長期国債の金利が1%上昇すれば、年間の利払いは2兆円近く増えることになる。
それでも欧州諸国のように、国債が大きく値下がりしないのは、日本国債が国内で消化されているためとされているが、油断はできない。
日本国債の海外投資家による保有比率は、現在の8%台からじりじりと上昇する傾向が見られるからで、やがて日本の財政が危ういという見方が広がれば、海外の投機マネーが動き出し、欧州のような財政危機を招くおそれがある。
野田政権は、年末に社会保障と税の一体改革という考え方に基づき、消費税を2014年4月と15年10月の2回に分けて10%に引き上げる方針を決めた。
これだけでは、財政健全化のためにはなお財源不足と見られているのに、日本全体としては、財政破綻に対する危機感は薄いと感じる。
政府も消費税増税後のビジョンをもっと詳しく、具体的に説明するとともに、世論が求めている増税前にすべきことをきっちり推進してもらいたい。
なによりも与野党が危機感を持ち、政争の道具にしないことを願いたい。
大手格付け会社S&Pは、新年早々、ユーロ圏17カ国のうち、9カ国の国債の格付けを一斉に引き下げた。
この中に最上級の国債格付けを持つフランスやオーストリアも含まれていて心配されたが、今のところこの2カ国の国債を売り急ぐ動きはみられない。
ただ「投機的」とされる水準まで格下げされたポルトガルの国債価格が急落し、これに伴って長期国債の利回りが上昇していると伝えられる。
このことは、国債を新しく発行する際により高い金利を支払う必要に迫られていることを意味する。
これまでユーロ圏諸国やECB(欧州中央銀行)が危機対策を打ち出し、IMF(国際通貨基金)も動き始めたが、発端となったギリシャ危機への対応が遅れ、後手に回って信用危機を広げてしまったのである。
ユーロ圏は、金融面ではECBを中心に一つになっているが、財政は各国別々のままであるため、こういう結果を招いたとされている。
それでは、日本のような財政金融が一つになっている独立国なら大丈夫と言えるだろうか。そうとは言い切れない。
あらためて述べるまでもなく、日本の国の借金は、今年3月末にはGDP(国内総生産)の約2倍、1000兆円に達する見通しで、GDPとの対比で言えば、先進国の中で最悪の状況にある。
このところ年間の国債発行は170兆円前後となっている。
したがって、長期国債の金利が1%上昇すれば、年間の利払いは2兆円近く増えることになる。
それでも欧州諸国のように、国債が大きく値下がりしないのは、日本国債が国内で消化されているためとされているが、油断はできない。
日本国債の海外投資家による保有比率は、現在の8%台からじりじりと上昇する傾向が見られるからで、やがて日本の財政が危ういという見方が広がれば、海外の投機マネーが動き出し、欧州のような財政危機を招くおそれがある。
野田政権は、年末に社会保障と税の一体改革という考え方に基づき、消費税を2014年4月と15年10月の2回に分けて10%に引き上げる方針を決めた。
これだけでは、財政健全化のためにはなお財源不足と見られているのに、日本全体としては、財政破綻に対する危機感は薄いと感じる。
政府も消費税増税後のビジョンをもっと詳しく、具体的に説明するとともに、世論が求めている増税前にすべきことをきっちり推進してもらいたい。
なによりも与野党が危機感を持ち、政争の道具にしないことを願いたい。
Posted by hamachan at
14:15
2011年12月16日
夢を抱かせる新技術
今年2011年は、大地震、津波、原発事故、超円高等々、大変な試練の年であったが、発明王エジソンが没して80年でもあったとか。
そこで年の瀬を迎えて、最近のニュース報道から、人々に明日の夢を抱かせる新技術の例を拾ってみた。
11月に、日本のスーパーコンピューター「京(けい)」が1秒間に1兆の1万倍、つまり1京回超の計算速度を達成し、7年ぶりに世界一になったことが話題になった。
このスパコンは冷蔵庫ほどの大きさの計算機を864台つないで同時に動かしたものだと言う。
ところが、国立情報学研究所が考案したレーザー光活用の新しいタイプのスパコンは、手のひらサイズで、しかも桁違いの超高速計算が可能となる。試作機は、5年後に完成するというのである。(日経9.19付)
この日の同紙には、東京農工大学で、昆虫の体液を利用して発電するバイオ燃料電池の開発が進められており、これをゴキブリに取り付けて原発の内部の情報を探ろうという試みも紹介されていた。
原発事故の復旧にはロボットが重要な役割を担うとみられているだけに、人が入れない原発内部で活躍できる多様なロボットの開発が待たれる。
実用化できるかどうかは分からないが、ユーモアある発明や研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」を今年受賞した日本人の研究は、聴覚障がい者が寝ているときに、「わさび臭」で知らせる警報装置であった。
また、東北大学などでは「音で発電」する研究も行われており、超音波を使って微小電圧の発電実験が成功したとも伝えられる。
実用化が急がれるのは、7月に報道陣に公開されたというトヨタの衝突を避けるための新技術で、クルマを運転中にブレーキを踏んでも間に合わないとき、自動制御でクルマの向きを変えるというものなど、安全を守る新技術である。
新技術が次々に登場するのは、電子工学の分野が多いが、医学や遺伝子工学でも、マウスの皮膚の細胞から精子を作るといった、一昔前には、全く考えられなかったような新しい動きが報道されている。
人材が資源という日本にとっては、こうした新技術こそが経済発展の力となる。
新技術を生かすためには、倫理的な問題などは慎重さが欠かせないとしても、新技術の応用を妨げる規制を見直すことも必要となる。
そこで年の瀬を迎えて、最近のニュース報道から、人々に明日の夢を抱かせる新技術の例を拾ってみた。
11月に、日本のスーパーコンピューター「京(けい)」が1秒間に1兆の1万倍、つまり1京回超の計算速度を達成し、7年ぶりに世界一になったことが話題になった。
このスパコンは冷蔵庫ほどの大きさの計算機を864台つないで同時に動かしたものだと言う。
ところが、国立情報学研究所が考案したレーザー光活用の新しいタイプのスパコンは、手のひらサイズで、しかも桁違いの超高速計算が可能となる。試作機は、5年後に完成するというのである。(日経9.19付)
この日の同紙には、東京農工大学で、昆虫の体液を利用して発電するバイオ燃料電池の開発が進められており、これをゴキブリに取り付けて原発の内部の情報を探ろうという試みも紹介されていた。
原発事故の復旧にはロボットが重要な役割を担うとみられているだけに、人が入れない原発内部で活躍できる多様なロボットの開発が待たれる。
実用化できるかどうかは分からないが、ユーモアある発明や研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」を今年受賞した日本人の研究は、聴覚障がい者が寝ているときに、「わさび臭」で知らせる警報装置であった。
また、東北大学などでは「音で発電」する研究も行われており、超音波を使って微小電圧の発電実験が成功したとも伝えられる。
実用化が急がれるのは、7月に報道陣に公開されたというトヨタの衝突を避けるための新技術で、クルマを運転中にブレーキを踏んでも間に合わないとき、自動制御でクルマの向きを変えるというものなど、安全を守る新技術である。
新技術が次々に登場するのは、電子工学の分野が多いが、医学や遺伝子工学でも、マウスの皮膚の細胞から精子を作るといった、一昔前には、全く考えられなかったような新しい動きが報道されている。
人材が資源という日本にとっては、こうした新技術こそが経済発展の力となる。
新技術を生かすためには、倫理的な問題などは慎重さが欠かせないとしても、新技術の応用を妨げる規制を見直すことも必要となる。
Posted by hamachan at
13:51
2011年12月02日
天然ガスは原発の代わりになるか
東電福島第一原発の事故以来、原発に頼らないエネルギー源の確保が課題となっている。
最も望ましいのは、太陽光や水力、風力など再生可能なエネルギーを利用する発電である。
既に各地で、再生可能なエネルギーへの取り組みが始まっているが、発電に占める割合は2%程度しかなく、既存の原子力発電に匹敵する水準まで引き上げるにはまだ長い時間がかかりそうである。
最近脚光を浴びるようになっているのは、液化天然ガス(LNG)である。
石油や石炭と同じ化石燃料であるが、温暖化については比較的地球にやさしいのと、埋蔵量が豊富で、石油のように供給地が偏っておらず、しかも最近、米国で頁岩層(けつがんそう)にあるシェールガスを掘削する技術が開発されたことなどから、供給の増加と価格の低下に大きな期待が寄せられるようになったのである。
現にニューヨークの取引所での北米産の天然ガスの相場は、日本の5分の1程度になっている。
しかし日本では、この価格は通用しない。
アジアでは、天然ガスの価格は、投機的な資金も入って値上がりしやすい原油価格に連動して決められているためである。
そこで、日本と韓国などが協力して原油連動式価格を改める方策を模索したり、日本の商社を中心に北米でシェールガス掘削の権益を取得して開発しようとする動きが報道されている。
いずれも、取組が始まって日が浅く、日本の戦略と交渉力を高めることが重要になる。
日本の近海、特に東海から九州にかけての太平洋側の海底には、メタンハイドレートという天然ガスがシャーベット状で大量に存在すると見られている。
掘削する技術が開発途上にあり、いつごろから実用化できるか分からないが、日本の今後の有力なエネルギー源の一つとして、これも目が離せない。
最も望ましいのは、太陽光や水力、風力など再生可能なエネルギーを利用する発電である。
既に各地で、再生可能なエネルギーへの取り組みが始まっているが、発電に占める割合は2%程度しかなく、既存の原子力発電に匹敵する水準まで引き上げるにはまだ長い時間がかかりそうである。
最近脚光を浴びるようになっているのは、液化天然ガス(LNG)である。
石油や石炭と同じ化石燃料であるが、温暖化については比較的地球にやさしいのと、埋蔵量が豊富で、石油のように供給地が偏っておらず、しかも最近、米国で頁岩層(けつがんそう)にあるシェールガスを掘削する技術が開発されたことなどから、供給の増加と価格の低下に大きな期待が寄せられるようになったのである。
現にニューヨークの取引所での北米産の天然ガスの相場は、日本の5分の1程度になっている。
しかし日本では、この価格は通用しない。
アジアでは、天然ガスの価格は、投機的な資金も入って値上がりしやすい原油価格に連動して決められているためである。
そこで、日本と韓国などが協力して原油連動式価格を改める方策を模索したり、日本の商社を中心に北米でシェールガス掘削の権益を取得して開発しようとする動きが報道されている。
いずれも、取組が始まって日が浅く、日本の戦略と交渉力を高めることが重要になる。
日本の近海、特に東海から九州にかけての太平洋側の海底には、メタンハイドレートという天然ガスがシャーベット状で大量に存在すると見られている。
掘削する技術が開発途上にあり、いつごろから実用化できるか分からないが、日本の今後の有力なエネルギー源の一つとして、これも目が離せない。
Posted by hamachan at
11:57
2011年11月16日
TPPと日米貿易摩擦
環太平洋経済連携協定(TPP)について、11月11日、野田総理大臣が「交渉参加に向けて、関係国との協議に入る」と宣言し、激しく対立してきたTPP参加問題は、新しい段階に入った。
この交渉は、2006年にシンガポールやニュージーランドなど太平洋を囲む4カ国がヒト、モノ、カネの移動を国境を超えて自由にしようとスタートさせた協定で、これに米国や豪州などが加わり9カ国で交渉中である。日本に続いて、カナダとメキシコも協議へ参加の意思を表明し、12カ国に拡大しそうである。
この協定の特徴の一つは、原則として関税を100%撤廃することを目指している点で、これに伴って日本は工業製品等の輸出はしやすくなる代わりに、コメや酪農製品等の農産物が大きな影響を受けるという懸念が広がっている。
また問題は、日米間で話し合いがまとまるかどうかであるとも言われている。
長年、経済問題の取材をして来た立場からすると、戦後、1ドルブラウスに始まり、繊維や自動車、牛肉等の各分野、さらに経済構造まで踏み込んだ日米構造協議といった日米貿易摩擦の総決算になるのかという印象が強い。
TPPの場合は、単なる貿易問題だけでなく、医療や環境その他社会全体に関わる問題も議題になるようである。
そうなると、影響も広がり、交渉が難航する可能性がある。
これまでの日米摩擦は、「ノー」と否定できなかったり、「日本対米国」という利害関係の対立にとらわれ過ぎたりする場面が見られた。
しかしTPP交渉は、長い目で見て、日本の経済や社会にとって、変えた方が良いと思われる課題にきちんと立ち向かい、どのようにうまく打開するかという日本の将来に向けてのプラス思考を大事にしていくことはできないものか。
Posted by hamachan at
13:34

浜野崇好の


